看護師がフリーランスになるには?開業までのロードマップと開業届の出し方

フリーランスの看護師は、自分のやりたいことができて時間に融通も利くので、魅力的な働き方ですよね。病棟看護師ではできない職種も、フリーランス看護師になればできることがあります。

しかしこれまで雇用されていた看護師がフリーランスになるには、入念な準備が必要です。フリーランスになるための準備とは、書類や手続きなどの事務的なものだけでなく、考え方や成長する志など精神的なものあります。

この記事では、フリーランス看護師になるためのロードマップを紹介し、開業に必要な手続きもお伝えします。さらに、開業後にこんなはずじゃなかった、と後悔しないように個人事業主の注意ポイントも挙げましたので、開業前の参考にしてみてください。

看護師がフリーランスになるには?実現までの7つのステップ

フリーランスの看護師を目指すなら、次のステップを確実にこなしていくと失敗しません。実現までの7つのステップを詳しく紹介します。

Step1:自己理解と目標設定

まずフリーランス看護師としての自分の姿を明確にしましょう。どんな分野で活躍したいのか、どこで働きたいのか、働ける時間や収入を具体的に考えます。また、自分の強みや弱みを理解し、将来のビジョンを描くことが重要です。

たとえば、以下のように具体的に目標設定します。

  • 訪問看護で自分の看護ステーションを2年以内に立ち上げる
  • 子どもが中学生になるまでは、健康診断のサポートで午前中のみ働く
  • カウンセラーとして1年以内に月30万円稼ぐ
  • 自宅でメディカルライターとして活動し、家事育児と両立させながら扶養の範囲で働く
  • アートメイクでサロンを1年以内に開き、月50万円の売上を目指す

自分がどんなフリーランス看護師になりたいのかを具体的にイメージし、その目標に向かって計画を立てるのが、成功への第一歩。目標は具体的なほうが、実現までの道筋が立てやすいですよ。

目標が決まらない自分に何が合っているのかわからない、という場合は、以下の方法も試して見ましょう。

  • 看護に関係なく得意なことをノートにひたすら書き出す
  • 知り合いに自分のことを聞いてみる
  • 目標設定は期間ごとに決める
  • 理想の働き方をしている人に会いに行く
  • とりあえず手当たり次第やってみて判断する

Step2:ビジネスモデルを考える

次に自分のやりたいことが、市場の需要に合致しているかを確認しましょう。最近では、介護関係や美容関係の需要が高まっています。

また似たような仕事をしている人に会って、アドバイスをもらうことも有益です。その道の先輩なら、現在の市場の状況を、教えてくれるでしょう。また参考になるビジネスのノウハウもたくさん持っています。その道の先輩を探す方法は、SNSが有用です。

フリーランス看護師のビジネスモデルとして、次のようなものがあります。

  • 病院看護師を続けながら副業で訪問介護をする
  • 一気に開業してフルタイムで自分のサロンで働く
  • 自宅でパソコンを使ってオンラインカウンセラーをする

考えているビジネスがうまくいくか不安収益が出るかどうかもわからない、という場合は、休日にやってみたい業種を副業として始めるのもアリですよ。また看護師向けのスクールや講座に参加するのも、ビジネスモデルを考えるきっかけになります。

Step3:今の勤務先を辞める

フリーランス看護師としての道を進むためには、現在の勤務先を辞める決断も必要です。退職のタイミングや手続きは、計画的に行ってください。退職に向けてのスケジュールは、下の表を参考に進めるとスムーズです。

やること 時期
退職の意思を職場に伝える 退職日の1~3ヶ月前
退職願の提出 退職日の1ヶ月前
業務の引き継ぎ 退職日の3日前までに完了
片付け・返却物の確認 退職日の1日前
お世話になった方への挨拶 退職日当日

周りの方への配慮を忘れず、気持ちよく退職できるよう進めていきましょう!

Step4:退職後の手続きをする

退職後に健康保険、年金、雇用保険などの社会保険の手続きをします。手続きに必要な書類や手続きができる場所は、それぞれ異なりますので注意しましょう。

手続き 内容 必要書類 手続き場所
国民健康保険 会社の健康保険から脱退して国民健康保険に加入 健康保険資格喪失証明書 市役所等
年金 厚生年金から国民年金に切り替え 年金手帳、健康保険資格喪失証明書 市役所または年金事務所
雇用保険 失業給付の申請(該当する場合) 離職票、雇用保険被保険者証 ハローワーク

必要書類について、上記のほか身分証明書やマイナンバーが求められる場合があるので、忘れないようにしてくださいね。

退職後、事業の立ち上げ準備をしているときは、ハローワークにて失業給付が受け取れる場合があります。事業立ち上げの不安定な時期に、一定金額が受け取れるのは精神的にも心強いので、ハローワークで給付の対象になるかどうか確認してみましょう。

Step5:開業手続きをする

フリーランス看護師として活動を始めるためには、開業届を税務署に提出します。開業届の提出方法は比較的簡単ですが、必要な書類や手続きについては事前に確認しておきましょう。詳しくは後述します。

Step6:サービスの宣伝と案件獲得

自分のサービスを世間に知ってもらうために、SNSや案件紹介サイトを活用しましょう。スキルや経験をアピールし、多くの案件を獲得するのが成功の鍵です。

具体的な宣伝方法や案件獲得方法は、以下のような方法があります。

業種 宣伝・案件獲得方法
アートメイクサロン Instagramやホームページを開設、チラシを近所に配布、地元情報誌に広告掲載
メディカルライター クラウドワークスなどのサイトに登録し案件探す、関わりたいサイトに直接連絡、X(Twitter)などで案件探す
オンラインカウンセラー SNS(Instagram・X)やホームページを開設、オンラインカウンセラー紹介サイトに応募
訪問介護 地域の福祉施設やケアマネージャーに連絡、求人サイトや紹介会社に応募

しかし開業したばかりは、ここが一番ネックになるポイント。一定の認知が得られたり、固定のお客様、患者様がついたりすれば、安定して案件獲得ができますよ。

Step7:継続的な自己研鑽

フリーランスとしてのキャリアを維持するためには、常に最新情報をアップデートし続けるのが重要です。成長し続けるために、新しい知識や技術を積極的に学び続けましょう。学ぶ方法は無数にあります。

  • 専門書を読む
  • セミナーに参加する
  • ネットで最新情報をリサーチ
  • 同業者のサービスを見てみる
  • 同業者のオンラインサロンで意見交換

医学は常に進歩しています。自己研鑽を怠らず、進化し続ければ、フリーランス看護師として成功を持続できますよ。

個人事業主になるための手続き|開業届の提出ガイド

個人事業主になるには、税務署に開業届を出します。開業届の出し方や、提出後にやっておくことなどを詳しく解説します。

開業届とは

開業届とは、個人事業主として事業を開始する際に、税務署へ提出する書類のことです。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

届出書を提出して、税務署に対して事業を開始したことを報告、個人事業主としての税務処理が始まります。提出しない場合、青色申告ができないなど、税制上の優遇を受けられない可能性があるため、提出するようにしましょう。

開業届は開業から1ヶ月以内に提出が求められています。

開業届の提出方法と必要書類

Step1:開業届の作成

「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署の窓口や国税庁のウェブサイトから入手し、必要事項を記入します。e-Tax(電子申告)で提出する場合は、e-Tax上で開業届を作成してください。

書類には事業の開始日、事業の内容、事業所の所在地などを正確に記入しましょう。開業届は税務署に提出するものと、控えの2部作成します。屋号は決まっていなければ、記入なしで問題ありません。

Step2:必要書類の準備

開業届の他に、マイナンバーがわかる確認書類本人確認書類を準備します。

青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も併せて提出がおすすめです。青色申告承認申請書を出しておくと、最大で65万円の控除が受けられ節税メリットがあります。

Step3:税務署に提出

作成した開業届と必要書類を、所轄の税務署に提出します。窓口での提出のほか、郵送やe-Tax(電子申告)での申請も可能です。窓口の場合、控えを直接受け取りますが、郵送の場合は控え用の返送用封筒を同封してください。

国税庁のホームページにて、開業届の書き方や提出方法の詳細がありますので、参考になります。

開業後の手続き

開業届を提出した後も、個人事業主として適切に事業を運営するためには、毎年所得税の確定申告をしなければなりません。確定申告のために、日頃から次のことを行います。

  • 領収書を取っておく
  • 収入を記録する
  • 会計ソフトで収支を管理する
  • 必要に応じて税理士についてもらう

開業は開業届を出すことが注目されがちですが、出すだけで終わりではありません。業を継続していくために、開業後にすることも忘れないようにしましょう。

フリーランス看護師の魅力

フリーランス看護師は魅力たっぷりですが、一般的に次のような理由が人気です。

  • 融通が利きやすい
  • 自分で仕事を選べる
  • 子育てと両立しやすい
  • 高収入もありえる
  • 人間関係に悩まされない
  • 主体的に働ける

今の雇用されている状態がちょっと合わないなもっと自由に看護師ができないかな、と思うならフリーランス看護師は最適な働き方かもしれません。また時間に限りがある子育て中のママさん看護師にも、フリーランス看護師の働き方は注目されていますよ。

個人事業主の注意ポイント

フリーランス看護師は雇用されているときと違って、デメリットもあります。フリーランスになってから気づいて後悔しないよう、独立前にしっかり確認しておきましょう。

安定した収入は保証されていない

フリーランスとしての仕事は、常に安定しているわけではありません。収入に波があり、突然仕事がなくなることもあります。とくに始めたばかりの頃は、クライアントを確保するのに苦労することもあるでしょう。そのため、ある程度の貯金を確保し、緊急時のための資金計画を立てることが重要です。

社会保障が薄い

フリーランスは自分で社会保障を整えなければならず、その上保障が薄いのがデメリット。雇用されているときには当たり前のように受けられる社会保障は、フリーランスになると各部門個別で手続きしなければなりません。たとえば、健康保険や国民年金の手続きがあります。

またフリーランスには育休手当などの社会保障がないため、出産や育児の計画を立てる際にはとくに注意しましょう。さらに雇用保険も適用されないため、失業時のサポートもありません。

世間の信頼が低い

フリーランスとしての活動を始めたばかりの頃は、社会的な信用が低く見られることがあります。とくに金融機関からの信用が低く、クレジットカードの発行やローンの審査が厳しくなることがあります。そのためクレジットカードの発行やローンを予定しているなら、前の職場を辞めるまでに申請を通しておいたほうがいいかもしれません。

ただし事業が軌道に乗り、一定の収入が得られるのが証明できれば、金融機関の信頼も上がるので、安心してください。

確定申告が必要

フリーランスで働くなら、毎月の収入と経費を自分で管理し、帳簿をつけなければなりません。そして、年に一度の確定申告を行い、税務署に収入を報告します。

初めて確定申告をする場合、手続きに不安を感じることも多いですよね。そんなときは、税理士に相談するか、税務署のサポートを利用する方法がありますよ。

まとめ

フリーランス看護師になるには、実現までの7つのステップを踏みます。

  • Step1:自己理解と目標設定
  • Step2:ビジネスモデルを考える
  • Step3:今の勤務先を辞める
  • Step4:退職後の手続きをする
  • Step5:開業手続きをする
  • Step6:サービスの宣伝と案件獲得
  • Step7:継続的な自己研鑽

これらのステップを確実にこなすと、開業に失敗せず事業を継続させられるでしょう。

個人事業主になるための手続きは、税務署へ開業届を提出することです。提出方法は直接持って行く、郵送、e-Taxを利用する方法があります。フリーランス看護師は自由が利く働き方ですが、収入が不安定たっだり、社会保障が薄かったりするので、事前に対策しておきましょう。

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